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2011年11月1日火曜日

遠藤賢司「不滅の男」第2弾!@ROCK JOINT GB

遠藤賢司「不滅の男」第2弾!
エンケンバンド
(遠藤賢司Vo.G/湯川トーベンB/石塚俊明Ds)
10月30日(日) 吉祥寺 Rock Joint GB
開場18:30 / 開演19:00  ¥3700 / ¥4200 +1D
大学生・専門学校生¥3000 高校生¥2000



このブログを読んでいただければおわかりでしょうが、
私は、年がら年中、アホみたいにライブばっかり行っとります。
それでも、ライブの前になるとソワソワドキドキして、
仕事が手に付かなくなることも、しょっちゅう。
なかなか慣れるもんじゃないんだな。
しかし、今回はそんなもんじゃなく、ソワソワドキドキの最上級、
それプラス「ひゃあ」とか「あぁああぁ」とか、意味不明の声を発しては、
上がっていく心拍数を抑えるために深呼吸したり。
とにかく、めちゃくちゃ楽しみにしてたのだ。
待ち遠しすぎて、時間の流れがもどかしく感じるほどに。



5時頃吉祥寺に着いて、前売チケットを買うため、GBへ向かう。
そう、12月にグルーヴァーズのワンマンがここであるのだよ。
そしてGBの前まで来て・・・あっ!!!
トーベンさん!
スタッフの方なのかな?座り込んでお話されてる横を
知らん顔して無言で通るわけにもいかず(面割れだから)、
・・・ こ ん に ち は 」と、消え入りそうな声をかけさせていただきましたよ。
聞こえてないかもしれないけど。
とにかく急ぎ足で。
もう、酸欠寸前だもの。
ハァハァハァ・・・。



今回は、エンケンを初めて観るという、りーさん、ニアさんとご一緒。
お二人は初対面だったけれど、すぐに打ち解けたもよう。
よかった。
そして、私がガッツで良番チケットをもぎ取っていたので、
特等席を確保できたぜ。
あー、いい眺めだ。
楽器のセッティングしてあるステージを見ているだけで、ときめく。

エンケンのヤマハのアコギは、古い順から、
一郎、二郎、三郎、と名付けられ、ヘッドのところに番号がふられている。
ステージに並んでその出番を待っていたのは、二郎君と三郎君。
サウンドホールの周りが削れるほどに使い込まれているのが素敵。
飼い主を待つ犬のように、エンケンに掻き鳴らされるのを待っているみたい。
そう、愛猫家のエンケンのギターなのに、犬のような佇まいだった。

世代の違う三人で、好きな音楽の話をキャッキャとしていると、
照明が落とされ、ついにエンケンが登場。

最初に手にしたのは三郎君だったかな?
そのギターをかき鳴らす、ジャラーンという音が響いた瞬間、
場内の空気が一変する。
みんなが、ステージの真ん中に座っているエンケンに意識を集中させて、
どんな小さな音も聴き逃すまいとしている。
たった一振りのストロークで、グイッと聴く者を惹きこんでしまう。
いったいどんな魔法を使ったんだろうか、と考えていると、
それが魔法みたいな薄っぺらなものじゃないことがわかる。
鍛錬され、研ぎ澄まされたエンケンの気迫が波動となって、
観客の心を震わせるのだ。

アコギの弾き語りは4曲くらいだったかな?
『満足できるかな』で始まって、新曲『心の奥まで抱きしめて』
『夜汽車のブルース』など。

この前も思ったけど『夜汽車のブルース』のギターは、
本当に汽車の音に聴こえる。
ただ、走り過ぎて行く汽車を見送る感じではなく、
汽車に乗ってるか、もしくは汽車と同じスピードで並走してるか、
とにかく、一緒に疾走してるような気分になる。
うっかりすると、振り落とされてしまいそうだが。

一曲一曲、尋常ではない熱量を発しながら、
ギターを弾き、ハープを吹き、歌をうたうエンケン。
聴き手も気を抜くとふっ飛ばされてしまうから、
必死になってエンケンに喰らいついていく。

そんな真剣勝負の合間のMCでは、
人が変わったように優しい表情で、生真面目に話すエンケン。
「エンケーン!」と、女性からの声がかかると、
ニッコリ笑って「ハイ」と嬉しそうな表情をする。
すごくチャーミング!

伊豆のレコーディングスタジオの猫“カブキ”の話。
ただ可愛がるだけじゃなく、真剣に猫の気持ちを理解しようとする
エンケンのその心の在り方が、途轍もなく美しかった。




トシさんとトーベンさんを呼び込み、
エンケンは立ち上がって、ギターをグレッチに持ち替えた。
甘ったれるなよ!というエンケンの声で始まる。
『東京ワッショイ』
大好きな曲。
気が遠くなるほど待ち焦がれたエンケンバンド。

すごいすごいすごいすごい・・・・・。

ドラムソロ~ベースソロ、それぞれ10分近くやったんじゃないかな。
このへん、時間の感覚が狂ってるから、はっきりしないな。

トシさんのドラムは、湿度が高いな。
ドロっとした妖しさとプリミティブな力強さが混じり合って
ぬるっと蛇行するように体の中にねじ込んでくるリズム。

トーベンさんが、こんなベースを弾くのを初めて見た。
本気度がハンパないわ。
いつもと目の色が違う。
少し苦しげに、体から何かを吐き出すようにしながら音を紡いでいく。
吐き出し続けて、トーベンさんが空っぽになってしまいそうで恐かった。

それぞれのソロの間、舞台の真ん中で仁王立ちのエンケン。
照明もほとんど当たってなくて、濃い陰の中から、
真正面を睨みつけるように見つめて、じっと立っている。
まるで不動明王のようだった。

再び三人の音が重なると、
何もかもを呑み込んで巨大化していく大蛇のように、
私を、観客を、この空間すべてを呑み込み尽くしていった。
なんという至福、なんという恍惚。

すごいすごいすごいすごい・・・・・。

「ちょっと休まないと、トシとトーベンが倒れちゃうんで」と、
エンケンのMC。
「神無月のCDが・・・」と、突然はじまったので、
ちょっと慌てるトーベンさん。
さっきまで、異形の形相で鬼気迫る演奏をしていた人達が、
仲良さそうにニコニコしながら話してて、不思議な感じ。
いや、こっちの方が素なんだけどね。
エンケンが神無月のことを絶賛してくれるのが、恥ずかしくて
照れ照れのトーベンさん、もういつもの優しい顔に戻ってた。
このエンケンの宣伝のおかげか、この日の物販では
神無月のCDが売り切れていた。
(その最後の一枚をゲットしたのは、りーさんでした。)

来年1月に出る新しいアルバムの中から2曲。
『俺が死んだ時』に、「あいつ頑張ってたよな」と言ってもらえるように、
とか、そういうことをエンケンが言ってたんだけど。
ダメだよ、死んでからじゃ遅い。
早く、日本中の人に気づいて欲しい。
ここに、美しく、気高く生きている日本の宝がいることを。
死んでからじゃ、ダメだよ。

『踊ろよベイビー』のときだったかな。
エンケンが、曲の途中で時々猫招きの手でポーズを決めていた。
これ、エンケンがやると不思議とカッコよく見えるんだよね。
トーベンさんも興に乗ってきたらしく、
同じく猫手で踊りながら、エンケンに絡んでいく。
トーベンさんは犬派だからなのか、
その猫手がちょっと様になってなかったりするのだが、
いつの間にか、二人で向き合って、ニャオニャオダンス(?)してる。
なんだ、コレ?
64歳と58歳が、可愛すぎでしょ?
さっきまでの殺気立った演奏とは、なんたるギャップ。
息が止まるかと思ったわ、愛しすぎて。

それから、二人で一緒にシコ踏んでた。
さすがエンケン、足がきれいに上がってて美しいシコを踏む。
トーベンさんも、よく頑張ってついていってたよ。

『不滅の男』は、まさにエンケンのテーマ曲。
私も一緒に声を出して歌った。
「頑張れよなんて言うんじゃないよ 俺はいつでも最高なのさ!」
そうだ、そうだ、そのとおり。
エンケンは、いつでも最高。
いつでも手加減ナシで、観客に真剣勝負を挑んでくる不滅の男。
最高だ!




アンコールは、エンケンバンドでアコースティック演奏。
トーベンさんのアコベ、今日は間近で見られた。
エンケンの繊細な歌声に合わせて、
優しく弦を弾いて、深く深く沁み込んでいくような音色を奏でる。
この世のものと思えないほど、低く澄んだ音が体内に響いた。


最後は、エンケン一人で『夢よ叫べ』
ギターの旋律が哀しく美しい名曲。
一人でステージに立つエンケンの姿が美しいのは、
足が長いとか、姿勢がいいとか、そういうことだけじゃなく、
その痩せた体に内包している魂の形が透けて見えるからなんじゃないか?
美しい魂がステージの照明に照らし出されて、
私はただただ見とれてしまうのだ。

いつものように、格好よく見得をきってステージを去るエンケン。
しばし呆然とした後、涙が溢れるのを止められなくなる。

あぁ、エンケンと出会えた私は幸せだな~。



満足できるかな
心の奥まで抱きしめて
ハローグッバイ
夜汽車のブルース
ちゃんとやれ!えんけん! 
東京ワッショイ
男のブルース
外は雨だよ
ブルースに哭く
俺が死んだ時
君にふにゃふにゃ
踊ろよベイビー
不滅の男

猫と僕と君
夢よ叫べ



セットリストは、公式ブログよりいただきました。

2 件のコメント:

  1. あっちにもこっちにも「カリスマ」の符号が漂っている昨今ですが、本物の「カリスマ」に出会えた気がしました。
    薄暗いステージで微動だにせず立つエンケンから発せられるパワー。
    がんじがらめにされて息苦しくてもがいているのに、いつまでもそのままでいたいと思う魔力のようなパワー。
    いやはや・・・。
    それから、あのパワーを見事に押し返して素晴らしいソロを聴かせてくれた二人は「リズム隊」なんて一絡げにして軽々しく呼んではいけませんね。真剣勝負の男ほどセクシーなもんはない!

    アンチエイジングなんて言葉ちゃんちゃらおかしいze!
    目指すところは「不滅」だze!と、心に決めた夜でした。

    それから・・・霜月に聴く神無月は初めて聴くのに懐かしいです。

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  2. >りーさん
    あー、いまだに夢見心地が続いてます。
    もう一度、あの轟音の渦の中に帰っていきたい。
    泣きたいくらいに、あの瞬間が恋しいです。

    あの狂おしく濃密な時間を、りーさん、ニアさんと共有できて、
    嬉しかったです。
    お付き合いいただいて、ありがとうございました。

    そういえば、エンケン&トーベンさんのプリティーな写真が
    エンケンのブログにアップされてました。
    ぜひ、ご覧下さい。

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