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2012年12月1日土曜日

パンダ音楽祭@上野恩賜公園野外ステージ

パンダ音楽祭
2012年11月25日(日)上野恩賜公園野外ステージ(水上音楽堂)
13時30分開場 14時開演
前売券2,000円 当日券2,500円(全席自由)
出演: 曽我部恵一
        奇妙礼太郎
        チャラン・ポ・ランタン
        笹口騒音ハーモニカ
        松尾よういちろう(井乃頭蓄音団)
        日比谷カタン
        MOROHA
司会: 藤岡みなみ



パンダ音楽祭・・・いいネーミングだ。
これで、ギターパンダが出ていれば文句なしなのだが。
いや、まぁ、そんなことは置いといて、
とにかく、晴れてよかったよ~!
11月25日は、この10年間、雨が降ったことがないってことなので、
すっごいプレッシャーだったわ。
これで証明されたな。
私、雨オンナじゃありませんからねっ。(キッパリ!)

この水上音楽堂は、屋根があるので、
少々の雨なら問題なさそうではあるけれど、
やっぱり、野外ライブは、お天気いい方が気持ちいいもんね~。


まずは、司会の藤岡みなみちゃんが出てきてご挨拶。
パンダの被り物してて、かわいーなー、もー。
そして、パンダ音楽祭のテーマソングを弾き語りで披露してくれた。
これ、よく出来てるので、ぜひ見てみてね。
↓↓
『パンダ音楽祭テーマソング』



チャラン・ポ・ランタン
コハルさん(姉・アコーディオン)と
モモちゃん(妹・ヴォーカル)の姉妹デュオ。
カラフルでメルヘンな衣装を着てて、二人ともかわいい!

最初はパンダの被り物で『パンダコパンダ』を歌って、
本当に可愛らしい姉妹だわねぇ・・・なんて油断させられたけれど、
なかなかどうして、ただのカワイコちゃんではなかった。

アコーディオンの音色は、哀愁たっぷりだけれど、
どこかユーモラスでもある。
ドロっと濃ゆいラブソングを情感たっぷり、シャンソン風に
歌い上げるモモちゃんを見ていると、まるで芝居小屋にいて
お芝居のワンシーンを見ているかのような気がしてくる。
そのわりには、ジメッとしたウェット感はほとんどなく、
あっけらかんとした印象だった。

MCの担当は姉のコハルさん。
ちょっぴり自虐的で、毒舌で、めっちゃ面白い人。

チャランポの独特の世界観は、パリの裏通りによく似合うのだが、
日曜日の真昼間の上野公園で聴くのも、オツなもんだね~。



日比谷カタン
しゅっとした男前のカタンさん。
なんだか妖艶な雰囲気をまとった方が、
またまた、この真っ昼間に登場というミスマッチは、
主催者側の、敢えての狙いのようである。

びっしりとステッカーが貼られたアコギからは、
情念がほとばしるような音がして、エンケンを思い出していた。

カッティングのストロークが正確で美しく、
銃弾の替わりに音を連射するマシンガンのようだった。
カッコいい~!!ギター巧い~!!!
と、一瞬にして虜になってしまった。

そして、15分を超えようかという大作『フェイクファー』
(正式なタイトルはもっと長かったけど)には、ド肝を抜かれた。
“弾き語りDJ”である。
古今東西のヒット曲をフェイクファーで繋ぐという、
馬鹿馬鹿しくも画期的な手法で、客席の心をガッツリと掴んだ。

何これ、面白すぎる~!!!
お腹、痛い~!ひぃぃぃ~・・・。

私の拙い文章力では、伝わらないと思うので、
興味のある方はYouTubeで検索してみて下さいな。
百聞は一見にしかず。
しかし、あの衝撃は、ライブじゃないと全部は伝わらないだろうな。
あー、ビックリした。
ちなみに、私が一番ウケたのは、伊勢佐木町ブルースの
「ファー、ファー」の部分である。


あなたとここで出会ったのは、運命でも偶然でも必然でもない。
一体、それは何か?
それは・・・ブッキング、というんだぜ~。(イェー!)



松尾よういちろう
井乃頭蓄音団というバンドの名前は知っていた。
確か、前に、エンケンと対バンしてるはず。
イノチクの自主企画ライブで、
エンケンを招くなんてセンスのある若者だなぁ、と思っていたのだ。

ステージに出てきた途端に「まつおー!」と野太い声援が
あちこちから上がる。
なかなかの人気者っぷりだ。
その松尾くんは、ビックリするくらい垢抜けてない風貌で、
でも人の良さそうな笑顔がチャーミングな青年。

ネタとして完成されつつあるステージングで、笑わせながら、
最後にホロリとさせる良い歌を歌うのだから、卑怯だわ。

結局、ちゃんとした曲は2、3曲くらいしか演らなかったっけ?
“ちゃんとした”曲も下ネタ満載だったりするんだけど。

『カントリーロード』で、不覚にも涙が・・・。
松尾くんの伸びやかな歌声と、ちょっぴりヘンテコな歌詞が
ノスタルジーの扉をそっと開いてしまうのだ。

そして、ラストでもないのにアンコールがかかって、
主催者側から「3分だけ」と時間をもらって演ったのが
『デスコ』という曲なんだけど、
熱心なファンの方が多かったみたいで、
コール&レスポンスが決まってて、とても楽しげ。
きっと、いいバンドなんだろうなぁ。
機会があればライブを観てみたい。



MOROHA
ラップとギターという珍しい組み合わせのデュオ(?)。

ギターの人は床の上に直にあぐらをかいて弾くスタイル。
このギターが、めっちゃいい音!
激することなく、淡々とループするアルペジオが、
やさしくて、せつなくて、キュンキュンしてしまった。

あー、私、ラップ苦手なんだよー。
だから、MCさんが熱いパフォーマンスをやってても、
ほとんど見てなくて、ギターさんばかり見てしまった。
申し訳ありません。

次から次へと繰り出される言葉は、どちらかというと
ヒップホップというジャンルには不釣合いと思われるような
内向きなものだった気がする。

あー、でもラップ苦手。
詰め込まれた歌詞を咀嚼しようとすると、
音が聴けなくなってしまうのだ、その速さについていけなくて。
たぶん、頭がトロいんでしょうな。

だから、MCの言葉も楽器の音色のように、
ただの“音”として受け止めながら聴いていた。
それでも十分に楽しめたよ。



奇妙礼太郎
陽が落ちてきて、夕闇につつまれた中、
奇妙くんは、いつもどおりの自然体のステージ。

「今日、御茶ノ水で買ってきましたー!」と言って、
アーチトップのアコースティックギターを見せびらかした。
そういえば、見るたびに違うギター持ってる気がする。
奇妙くん、かなりのギター好きと見た。

セットリストはこんな感じ。

天王寺ガール
機嫌なおしておくれよ
まるで映画のように
赤いスイートピー
君が誰かの彼女になりくさっても
オー・シャンゼリゼ


掴みの『天王寺ガール』は鉄板やな~。
あの歌の求心力は凄い。
客席の空気が一瞬にして変わるのが、肌でわかる。

観客に向かって「アホや~」「ウルサイ!」などと
毒づくのを見てもわかるように、この人も、Sキャラ。

MCだけではなく、歌っているときも、
聴衆を翻弄するように、自分の気持ちいいテンポ、リズムへと
飛び移っていく自由さは、Sのなせるワザじゃないかな。
媚びの欠片も感じられない、自由な歌。
そいつが私の魂を揺さぶるのだ。

「3月、4月くらいに全国をまわろうと思ってて、
その前にアルバム出すように、オトナの人から言われたんで、
今、曲を作ってレコーディングしてます。」という
奇妙くんらしい脱力感漂う言い方だったけれど、嬉しいニュースだ。

で、その新曲が『まるで映画のように』という曲。
なんか、せつなーい歌だったんだけど、あまり覚えてなくて…。
もう一度、じっくり聴いてみたいなぁ。

夜の野外で聴く『君が誰かの彼女になりくさっても』は、格別の味わい。
奇妙くんの体から絞り出された歌声が、
すーっと夜空の彼方へ昇っていくような気がした。
何もかもを冷たく、そして優しく包み込む夜の入り口がそこにあった。

やはり、アンコールを求める拍手が鳴り止まず、
再び出てきた奇妙くんは、ギターも持っていない。
「やっぱり~、オ~レは~ぁ~、菊正宗~♪」と
歌い上げて、去っていった。



笹口騒音ハーモニカ
これまた、はじめまして、の方。

もう、何から何までも挙動不審で、佇まいが可笑しい。
歌を歌っても、自虐的でありながら傲慢で、
痛々しいような青臭さなんだけど、老獪でもあり、
どうにも掴みどころのない感じ。

アコギにエフェクターを繋いでいて、
不意にノイジーな轟音を、エキセントリックに掻き鳴らす。
まったく、ヘンテコリンだよなー。

MCも、ウケてるんだか、スベってるんだか、ビミョーなとこ。
そのビミョーさが、なぜかツボに入ってしまって、
ずーっとクスクスと笑って見ていた。

そんな笹口くんが、終盤で歌った『SAYONARA BABY BLUE』という曲が
とても印象に残った。
至極マトモな、いい歌だということに面食らう。
今日何回目かの、この卑怯なパターンにやられてしまった。
やられたーーー。



曽我部恵一
曽我部さんは、真っ白の半袖Tシャツで登場。
冷え込みが厳しくなってきて、客席でもいろんなものにくるまって
暖をとっている人たちが目立ってきたというのに。
ステージの上だけは、別世界で季節が違うんじゃないかと思えてくる。

『街の冬』tというタイトルの曲が一曲目だったのだが、
この歌が、圧倒的で、いきなり涙があふれた。

生活保護を受けられずに衰弱死をした姉妹の事件を
題材として書かれた歌なのだが、
この社会悪に対する理不尽な憤りなんてものを
遥かに通り越した視点で描かれている。
純粋に姉妹の愛がテーマになっていて、とても優しくて温かいのだ。
そして、この歌が優しければ優しいほどに、聴く者は
その結末の残酷さを思い知らさせれ、涙せずにはいられないのだ。

歌っているときの曽我部さんの表情がまた、本当に優しくて、
天使が歌ってるような気がしたよ。
無精ひげの生えた天使。

いきなりノックアウトを食らったみたいな衝撃で、
そのまんま、最後まで魅せられっぱなし。

まったく奇をてらわない、率直で誠実なMCに、その人柄が表れている。
歌もまっすぐ。
ただ、まっすぐ投げるだけで、心のミットにストライクなのだ。
存在感のある歌だなぁ。

ちょうど、ソカバンの「キラキラ」を気に入って聴いていたので、
聴けて嬉しかった。
(このアルバムがまた、びっくりするほどの名盤なんだけれど、
それは別の機会に・・・)

お客さんも、どんどんステージ前まで押し寄せていった。
客席には奇妙くんの姿も。
最後はスタンディングのライブのようになって、
もちろん、私も気持よく跳ねていた。

結局ギターの弦を2回も切るような熱演で、
聴衆の心を一つに束ね、圧巻の曽我部さんのステージだった。
心がポカポカになるような感動的なラスト。
素晴らしい締めくくりだ。



はっきり言って、奇妙くんと曽我部さん以外は、
よく知らない方々ばかりだったし、こんなに楽めるとは思ってなかった。
まったく、嬉しい誤算である。
パンダ音楽祭、第2回が開催されることを期待しているよ。

そして、最後に。
私と一緒に楽しい一日を過ごしてくれた方に、感謝!
一人で観るより、何倍も楽しめたのは貴女のおかげです。
ままどおるも美味しくいただきました。
(夫に半分以上奪われたけれど)
また、お会いできるのを楽しみにしています。

2 件のコメント:

  1. こんばんは~。
    読みながら、そうそう、なんてうなづきまくってました。

    いやーホントに楽しかったですねぇ。
    大好きなギターの音に包まれてマジで幸せでした。
    色んなミュージシャンがいて色んな音楽があって、
    心からいいなぁってホントに思いました。
    5時間も楽しんだのにあの料金が申し訳ないくらい。

    それにnemuriさんと色んな話も出来てホントに嬉しかったです。(^^)
    特に大好きな彼のことを聞いてもらえて
    ますますテンション上がっちゃいましたよ。
    普段、音楽の話はおろか彼のことなんて誰とも話せませんからね。

    最近じゃ気付けば、ずっとず~っと君が好き~♪
    な~んて口ずさんだりしています。(^^)/

    互いに素性も良く知らないけれど、
    こうして出会えて楽しい時間を一緒に過ごせて
    「またいつかどこかで...」って別れるなんて
    なんか粋じゃね?って帰りの新幹線で思ったのでした。
    必ずやまたいつかどこかでお会いできればと思っています。
    ありがとうございました。m(_ _)m

    p.s.次の記事にサム・クックの名前!
    あの彼もサム・クックが大好きで、ライブでは必ず
    自分はサム・クックの息子だと言い切ってますからね。(^m^)

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    1. >noriさん
      ふふふ・・・、粋な私たちですね。
      あの楽しい時間のお値段が、2000円とはかなりお買得でした。
      パンダさん、冬眠に入ってしまったようですけど、第2回の開催を猛プッシュしたいですね。

      noriさんから頂いたお土産、今も楽しませてもらってます。
      “彼”(なぜか匿名!)しゃがれた、いい声ですよね。
      サム・クックの息子さんなのですか、そうですか・・・。
      いつか機会があれば、ナマで聴いてみたいですね。

      そして、noriさんとも、また必ず会えますよね。
      私たち好きな音楽で繋がってるんですもんね。

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